オンライン英会話とライティング1:文章の校正問題を日本語で考える

writing-926116_1920

オンライン英会話で『英会話』を勉強している方が多いかと思いますし、英語を勉強する目的を『英語を話せること』に設定している人が同じく、多いと思われます。ただ、現実問題、大学院に入ったり、仕事を行ったりする際には、英会話だけではなく、書き取り、読み取りの能力もかなり重要なものとなってきます。今回は、ライティングの必要性と、文章校正の難しさ、という観点から、まとめていきたいと思います。

スポンサーリンク

ライティングはどんなときに必要なのか

まずは、海外の大学、ないしは大学院に留学する際のことを考えてみましょう。英語圏では当然、授業はすべて英語ですし、非英語圏でも英語の講義を取り扱っているところはたくさんあります。その場合、参考文献、授業中に配られる資料なども基本的にはすべて英語ですし、試験なども勿論英語で問題が書かれており、英語で解答する必要があります。

特に、試験では『エッセイ』を書かせるような問題が多く、例えば『アメリカのMNE(multinational enterprise)が日本に進出する際に気をつけなくてはいけないことはなにか?講義を参考に、日本とアメリカの文化的差異などを考察しながら解答せよ。』的な感じで割と自由に書かされます。

辞書は持ち込み可の場合もありますが、他の国ではどうかは知りませんし、試験中にいちいち辞書を引いていると、とても時間の無駄になります。

また、ビジネスシーンでも、しょっちゅう英文メールを使用することとなります。海外と折衷を行う企業の種類は多数あり、それこそ小売業からポートフォリオに海外株を組みこむ会社、フランチャイズやM & Aなどです。海外とのビジネスとなると、時差の影響もありますし、やはり、文章でのやり取りが非常に一般的です。

というわけで、ビジネスにしろ、学業にしろ、基本的に英語とライティング(リーディング)は切り離せないものです。ですので、単に『英会話』だけに焦点を当てて勉強するのは、あまり実用的ではありません。

言語を添削する、ということはどういうことか:外国人の書いた日本語を見てみよう

さて、どんな手段でライティングを添削するのか、どんなオンライン英会話がそれに適しているのか、を見てみる前に、少し、そもそも英文の添削とはどのようなことなのかを考えてみましょう。

プロの書いた日本語にですら『校閲』という作業が入るわけですから、ライティングでミスを犯さないことはほぼ不可能ですし、ましてや、ノンネイティブの我々が英語を書く際にはなおさらです。ただし、英語ですとちょっと実感がわきにくいので、試しに、外国人の書いた日本語を見てみましょう。以下は、私の友人が私に添削してほしいといって持ってきた日本語の作文です。

『チークの木(Tectona grandis)は熱帯で大切な種類です。熱帯で植林した森では10%がチークの木です。インドネシヤでチークの造林地110万ヘクタールがあります。作のあとに植え込みをします。育苗するのに栄養生殖(Methode)と有性生殖ができます。』

彼の日本語レベルはB1程度で、簡単な受け答えであれば日本語でできます。TOEICでいえば、600点前後くらいの能力かと思います。さて、そんな彼が辞書を使いながら書いたのが、上記の作文です。確かにこの文章を読むと、不自然な点には気が付きますが、これを完璧に添削できる自身は、私には残念ながらありません。私は校正の仕事に携わっているわけでも、プロの日本語教師でもないのですから。

例えば、一つ目の文章を私は『チークの木は、熱帯地域では重要な植物の一つです。』と校正しました。ただ、厳密にいえば『熱帯』自体がすでに『熱+地帯』の意味で、地方という意味を含んでいるようなので『熱帯地方』という単語を使うのは、冗長な気もしますが、文のリズム的に私は『熱帯地域』を使いました。

なぜ『熱帯で』ではなく『熱帯地域では』に校正したのか、これは私のリズム感覚です。『大切な』ではなく『重要な』に置き換えたのは、なんとなくそちらの方がアカデミックな響きなので代えただけで、広義では『大切』だろうと『重要』だろうとそこまで意味は変わらないはずです。

というわけで、この短いセンテンスをあれやこれや考えて添削したのですが、結局たった3行のために以下のような日本語の文章を10分くらいかけて作りました。『チークの木は、熱帯地域では重要な植物の一つです。熱帯で植林された面積のおよそ10%がチークの木によって占められており、その規模は110万ヘクタールにも及びます。チークの木が刈り取られた箇所には、その後再び植林がおこなわれます。チークの育苗のための手段として、無性生殖、および有性生殖の双方を取ることが可能です』。

これは、あくまで素人である私が行った添削ですので、プロが行えばもっとアカデミックな文章が仕上がるでしょうし、植物学の教科書などでは、もっと適切な言い回しがあるかも知れません。

母国語話者にとっても、校正は難しく、その人の教養や専門、ビジネス経験や母国語の語彙力などに左右される

もう一つ、私が外国人から見せられた作文で、悩んだモノを見てみましょう。

『私は、東京に行くために、韓国でとまる』

この文章を、皆さんはどうやって校正するでしょうか。実際のところ、この文章だけをぽんと提出されても、我々には添削は不可能です。まず、韓国で止まる、なのか、韓国に泊まる、なのかをはっきりさせる必要がありますので、この文章を書いた本人にそれを確認しなければいけません。

ちなみに、この場合は前者のほうの飛行機が『止まる』でした。そうすると、今度は自然な日本語として、なんとなく『私は』の使い方がおかしい気がします。厳密にいえば、この文章で止まるのは私ではなく『飛行機』ですので、この文章の主語は飛行機でなくてはいけないはずです。

そうなると『飛行機は、東京に行くために、韓国で止まる』となります。ただし、ここで書き手は『自分が、日本に行く際、わざわざ韓国の空港で降りなくてはいけない』ことを強調したいようですし、そもそも一度韓国で止まったのと同じ飛行機が東京へ行くのかどうかは不明ですので、やはり主語は『私』である必要があります。そうすると、必然的に動詞は『とまる』ではなく『降りる』や『乗り継ぐ』にしなくてはいけません。

『私は、東京に行くために、韓国で乗り継ぎをする』

ちょっと自然な日本語に近づいてきました。ただ、私は、なんとなくこの『ために』の使い方が気に入らないので『ためには』に変えます。ついでに、細部をより詳しく、書き手の意思が強調されるようにします。

『東京に行くためには、韓国の空港でわざわざ乗り継ぎをしなくてはいけない(なんということだ!的なニュアンス)』

書き手の方はこの『わざわざ』という表現を気に入ってくれました。結局、この文章を校正する際は、書き手本人とカフェで30分くらい話しながらようやく双方納得のいく答えを得ることができました。

文章だけ見せられて文章を校正すると、書き手の意図を誤解する恐れがある

というわけで、我々が日本人だからといって、日本語の文章を『ぽんっ』と提出されても、容易には校正できないことがわかります。私も、英語を勉強したてのころは、ネイティブの人はこちらが書いたまずい英文を、魔法のように素敵な英文に書き直してくれる、と勘違いしていましたが、我々日本人の中でも文章力に差があるように、当然、ネイティブの中にも差があり、一概にみながみな、上手い英語に校正できるとも限らないのです。

これらを踏まえて、次回の記事では、どんなコンテンツを利用してライティングの練習をおこなったらよいのか、加えてどんな勉強方法がライティングに理想的なのか、という内容を見ていきたいと思います。

スポンサーリンク

コメントを残す



このページの先頭へ